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君は私と違うので
今日は陽気ですねぇ。自分です。
窓を開けておいても涼しいくらいで。風がするするします。

図書館で『ミレニアム記念特別文庫 百年目』(新潮文庫)なるものを見つけまして。
ミレニアムですよ。もう聞くことはほぼないだろうこの語句。
2000年の年明けから10年は経っているのですねー。早いもんだ。

「記念特別文庫」とあるだけあって、執筆陣がものすごい豪華なんですよね、この本。
ビートたけし谷川俊太郎児玉清、いやもう挙げるだけキリないので止めよう。2000年までの総決算のように著名人ばかりで。
ジャンルもバラバラなのです。エッセイも詩も俳句も、追悼句も送る言葉も。

なんか……この派手でいいとこ取りな感じ、名古屋城みたい……。
などと思ってしまいましたが(※完全にイメージ
ひとつひとつは短いし読みやすかったです。バラエティ豊かな分、世紀がまるごと入ってるような。
10年前を思いかえすのにも100年前を思い返すのにも通じるようでした。
ほんとなんか……キングスペシャルパフェの全部乗せ、みたいな(※イメージ

しばらく忘れられなかったのが、原田剛直さんの「リンゴとオニギリ」に出てくるリンゴの話。
正確にはその御父上の文章でして、長野から九州まで、飽きるほど鉄道に揺られないと来られない頃の記憶です。
九州の女の子が、高級品であるリンゴを大事そうに抱えている。
でも長野からリンゴを売りにやって来た書き手さんには、もう食べ飽きてぞんざいになるほどのものなのですよね。

この地域差がすごく……気になる。なんかいい。
今では食べ物に関して、あまり生産地の遠さが苦にならないからでしょうか。バナナもパイナップルも、普通に買えますし。
しかしリンゴを分けてもらった女の子はとても嬉しそうでした。
土地の距離感を感じるのは何故か懐かしい心持ちがしますね。季節の移り変わりを愛でるのと似ています。

『子規365日』(夏井いつき、朝日新書)にもそんな対照がありました。明治27年の子規の句。

蜜柑剥いて 皮を投げ込む 冬田かな

西南国は逆にミカンが安くて、すぐ手に入るのですよね。
夏井さんの解説には、「座敷に座って丁寧に剥いて嬉しく食べる高級果物」という言葉が取り上げられていました。
それは……なるほど。自分は出身が南の方なので、ミカンにそういう印象があるのは意外です。
まあでも今でも果物は、生産地に近いほど値段に差が出ますよね。
旅行に行っても普通のスーパーに行くわけじゃないんで、移り住まない限りは実感しにくいですけれど。

三尺の鯛 生きてあり 夏氷

は明治35年に詠まれたもの。
「陸前石巻より大鯛三枚氷につめて贈りにしければ」と前書きのある句だそうです。
震災前の本とはいえ、どきっとしてしまいました。何回も聞いたりくぜんいしのまきし。
冷凍庫もない時代ですから、夏に届いたこの鯛には大騒動だったろう。と、子規の家の様子に思いはせる文章が添えられています。

東北から子規の家まで、氷漬けの鯛が来るにはどのくらいかかったんでしょうね?
この距離感で食べる鯛は、きっと一口ずつ大事に味わうと思うのですよ。
それが丁寧に感じられて、良いなぁと思うのかもしれない。
距離が地域差を作るのでしょうが、なかなか面白いことです。県民性番組もはやってるし。広げると国擬人化もはやってるし。

もちろん今では石巻もはるかに近く。
この漁港からまた三尺の鯛が獲れるようになることを、願って止みません。

じゃあまあ、お腹空いたのでご飯食べてきます。果物あるかなぁ。ではでは。

+ + + + +
夏井 いつき
朝日新聞出版
(2008-08-08)

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